一般社団法人日韓経済協会

コラム・メッセージ

令和2年 年頭所感

佐々木会長2020年元旦

(一社)日 韓 経 済 協 会  会 長
(一財)日韓産業技術協力財団 理事長
佐々木 幹夫

新年おめでとうございます。
 当協会の法人会員・協力会員の皆様、並びに当財団の活動を支援いただいております日本政府・評議員をはじめご関係者の皆様には、日頃から格別のご理解とご協力をいただき、衷心から感謝申し上げます。

私共が一般社団法人・財団法人として再スタートしてから7年目となる2019年度は、日韓両国を取り巻く国際情勢が大きく揺れ動きました。米中の通商摩擦がグローバル・サプライチェーンにネガティブな影響を与え始め、さらに中東での地政学的リスクが高まりました。北東アジアの安全保障に重要な、朝鮮半島非核化に向けた米朝首脳の対話も膠着状態から抜け出ていません。
 一方で、日韓両国の政治・外交関係は、一昨年の韓国最高裁による日本企業に対する戦時労働者への補償を求める判決などを契機に、出口の見えない極めて厳しい状況が続きました。その影響が経済面にも波及し、訪日韓国人観光客の減少や日本製品の不買運動などが起こって、日本企業のみならず韓国の関連業界にもマイナスの打撃となり、非常に心が痛む状況です。また、自治体間の文化・スポーツ交流等の分野でも、残念ながら日韓関係は緊張の連続でした。

そうした極めて厳しい状況下、私共は昨年9月に第51回「日韓経済人会議」をソウルで開催し、両国の300名を超える経済人が一堂に会して真摯に意見を交わしました。「激動の世界経済における日韓協力」をテーマとする討議を通じて、日韓の経済人は、両国がこれまで築き上げてきた互恵的な経済関係が危機に瀕している状況を深く憂慮すると共に、両国が未来志向の原点に立ち返り、政治・外交を修復する必要があるとの認識を共有しました。そして、両国に共通する社会的課題を踏まえ、経済界同士が協力して諸問題を解決し、ボーダーレスな協業拡大により新たな飛躍を目指そうとの方向を打ち出しました。
 この会議で採択された共同声明は、私共が韓国経済界と共に取り組むべき方向を具体的に示すもので、次のような行動を促がしています。

1.第3国における日韓協業の継続的推進
 2.両国の雇用問題、人材開発等に関する共通課題の解決に向けた協力
 3.経済・人材・文化交流の持続・拡大
 4.次世代ネットワーク・地域交流の活性化等、日韓の友好的インフラの再構築
 5.東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けた協力

即ち、両国の外交関係が悪化している中でも、両国を繋ぐ架け橋として、両国の経済人は潜在的な成長力と補完関係を極大化する方策を講じていこうとの決意を示したものです。また、両国経済界の信頼関係と両国民のスムーズな往来が醸成されるよう、政府間の対話促進により新たな日韓関係の再構築のため適切な措置が講じられるよう要望しました。

さて、この間、当協会・財団は引き続き、次世代を担う日韓両国の経営者交流および、高校生による交流キャンプ、学生未来会議など人材交流事業を滞りなく実施いたしました。また、日韓中小企業情報交流センター(JK-BIC)を中心に、両国の製造業企業の調達・マーケティングに関わる日常的なビジネスマッチングを地道に支援し、着実に成果を上げることができました。加えて、在韓国日系企業のCSR活動と軌を一にする人材育成型インターンシップを推進することにより、日本企業への理解促進を図り、韓国優秀人材の雇用問題の改善などにも積極的に協力することができました。
 ボーダーレスな日韓の協業によって新たな飛躍を目指すという課題について私共は、エネルギー資源・インフラ開発のため第3国で共同事業を展開する日韓企業の動きに着目し、ミッションを派遣するなどにより、その成果をアピールしてきました。これまで、インドネシア、ミャンマー、モンゴル、ベトナムで活動する日韓企業の共同事業体へミッションを派遣し、またセミナーを開催するなど、日韓連携によるシナジーで成長を目指す意義を内外へ訴求してきました。
 今年はマレーシアでの日韓協業、さらには共同事業体による現地への社会的還元活動といったCSRにも注目して、ミッション派遣を計画して参ります。当協会・財団においても日韓の経済協力の促進にあたり、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の実現に資することが重要な課題であると考えております。
 こうした当協会・財団の活動は昨年、10月に政府により執り行われた即位礼正殿の儀に参列されるため来日した韓国のイ・ナギョン国務総理が私共日本の経済界と懇談した席でも、高い評価を受けました。日韓関係において政治的に難しい状況が続く中でも、政府が折に触れて、民間による日韓の経済・人材交流を重要であると発信していることは、両国に共通しています。
 ところで、私が日本側実行委員長を務める文化交流イベントの「日韓交流おまつり」では、昨年9月に東京で第11回大会を開催し、会場となった日比谷公園が一般来場者7万2千人で賑わうなど、草の根交流がしっかり現在の両国友好を支えていることが励みとなりました。
 そして、今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックの開催を迎えます。日韓の経済人も、世界の人々のスポーツ交流の場としての東京大会の成功に向けて協力していこうと決意しており、こうした機会を捉えて、さまざまな経済・人材・文化交流が重層的に取り組まれるよう期待しています。

本年も引き続き会員の皆様からのご助言、ご支援を活かして、事業の充実を図って参りたく、宜しくお願い申し上げます。
 最後に、会員企業の皆様、ご関係者の一層のご発展とご活躍を祈念申し上げまして、 新年のご挨拶とさせていただきます。

以上

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