一般社団法人日韓経済協会

コラム・メッセージ

第50回日韓経済人会議の開催報告

第50回日韓経済人会議は5月15日(火)、16日(水)の両日、ホテルオークラ東京において、日韓の経済人300人を超える参加者と40人を超える両国メディアの取材申請を得て開催されました。

南北首脳会談、日韓中首脳会談そして6月にも予定されている米朝会談と劇的な朝鮮半島情勢ともう一方での保護主義の台頭とそれに対抗するようなCPTPPなどの経済ブロックの組成という経済状況の中、本年は「『第50回日韓経済人会議』をともに喜び、経済・人材・文化交流を通じて次の50年を創造しよう!」という主題の通り、1969年以来、様々な困難を克服して一度も中断することなく継続し、第50回を迎えることとなった記念すべき経済会議でした。

開会式には50年の歴史で初めてとなる、高円宮妃久子殿下、安倍晋三内閣総理大臣のご臨席を賜り、高円宮妃殿下、両国政府代表として安倍総理、文在寅大統領(代読)からご祝辞を頂戴いたしました。また、ご来賓として額賀福志郎日韓議員連盟会長、榊原定征日本経済団体連合会会長、金榮三(キム・ヨンサム)韓国産業通商資源部貿易投資室長からもご祝辞をいただきました。ご祝辞では50回開催までの日韓経済人の努力に対し高い評価のお言葉と経済、人材、文化交流を三本柱とした日韓・韓日両協会の活動、特に次世代に引き継ぐ交流の基盤作りの活動に深いご理解とご賛同を得ることができました。

続いて、日本側は齋木昭隆元外務事務次官(現三菱商事取締役)、韓国側は金榮柱(キム・ヨンジュ)韓国貿易協会(元韓国産業資源部長官)が基調講演として登壇いたしました。齋木氏からは直近の朝鮮半島情勢に関し、一喜一憂することなく段階的に物事を進める重要さ、日韓両国が隣国同士未来志向で取り組んでいかなければならない事柄への重要なご提言をいただきました。金榮柱氏からは急変する北東アジアの情勢の中で隣国同士として日韓の相互信頼関係の構築に関して貴重なご意見をいただきました。

最後に、3月に行われた日韓経済人会議の準備会議である日韓新産業貿易会議の報告が麻生泰チェアマン(日韓経済協会副会長)、安宗原(アン・ジョンウォン)チェアマンより行われ、参加者の翌日の第1、第2セッションへの期待を高めました。

開会式後のレセプションでは、佐々木会長より金鈗(キム・ユン)韓日経済協会会長が本年度の春の叙勲で「旭日大綬章」を受賞されたことが披露され、第50回をともに喜ぶとともに受賞のお祝いと併せ、盛大なレセプションとなりました。

2日目の5月16日は第1、第2セッションが行われました。

第1セッションは李 景台(イ・ギョンテ)氏によるコーディネーションで「日韓経済連携・交流-ミクロとマクロの視点-」をテーマに行いました。日韓各2名の発表者による発表に続きパネルディスカッションを行いました。

日本側からは住友商事㈱執行役員 福田 康氏により「日韓企業の投資動向から見た東南アジア拠点としてのベトナム・ミャンマーのご紹介」として日韓両国企業の東南アジア進出プラットフォームとして住友商事様が日本連合の一員として開発しているミャンマーのティラワ、独自に開発しているベトナム(ハノイ)のタンロン各工業団地のご紹介とその機能や優位性をご紹介されました。日本側二人目として、三井住友銀行ソウル支店長の高橋 克周氏が「日韓経済連携におけるメガバンクの役割」として日韓経済連携の中で日本のメガバンクがファイナンス面で果たす役割、機能を現地統括者として、またグローバルコリア戦略の拠点として現地にいてこその経験を踏まえた発表をされました。

韓国側からは東レ尖端素材㈱の李 泳官(イ・ヨングァン)代表理事会長が日本企業による韓国投資の成功事例として東レ尖端素材㈱の成功要因を通して見た日韓の経済連携の拡大に対するご意見を、また徐 錫崇韓日経済協会副会長による日韓経済連携の次の50年に対するビジョンについて発表がなされました。

第2セッションは、小針 進静岡県立大学教授のコーディネーションで「未来志向 -次の50年の視点-」をテーマに日韓の有識者に加えて50回の歴史の中で初めてとなる、日韓の次世代4名にも登壇していただき、まさに未来志向のセッションとなりました。日本側からJA三井リース㈱常務執行役員の三木篤行氏が「これから50年の日韓関係に思いを寄せて」と題して3月までの韓国三井物産社長時代のご経験、社内で韓国の若手社員と接した経験などを振り返りつつ次の50年の日韓関係、若者に向けたご提言をされました。  続いて、韓国側より申 珏秀(シン・ガクス)元駐日韓国大使により、駐日大使や様々な日韓交流の現場において経験された知見を通じて、次の50年、次世代のための共生と協力の善隣関係についてご提言を頂戴しました。

最後に日韓次世代4名が発表しました。この4名は日韓・韓日両経済協会が主催する「日韓高校生交流キャンプ」の卒業生であり、2名の社会人、2名の大学生、大学院生という構成でした。本年第25回目となる「日韓高校生交流キャンプ」も卒業生の中に社会人になっている人材も増えてきており、社会人になっても日韓交流を熱心に続けております。彼らからはそれぞれの目から見た高校生キャンプに参加した感想、そこから得たもの、それからの自分自身の変化、これからの抱負、続く次世代へのアドバイスなどを語ってもらいました。初の試みではありましたが、従来とは違う視点での発表に会場からも未来志向的なご意見などをいただくことができました。

閉会式では共同声明が承認され、激動する半島情勢の中行われた第50回日韓経済人会議の幕が下ろされました。高円宮妃久子殿下、安倍総理のご臨席を仰ぎ、行われましたこの会議は第50回開催にふさわしく、厳粛のうちにも和やかな会議開催となりました。

参加された皆様には心から感謝を申し上げ、また次の50年のために倍旧のご支援をお願い申し上げます。

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