一般社団法人日韓経済協会

コラム・メッセージ

第46回日韓経済人会議を終えて

(協会報5・6月合併号より)

一般社団法人 日韓経済協会
一般財団法人 日韓産業技術協力財団
専務理事  是永 和夫

第46回日韓経済人会議は5月14~15両日に亘り東京に於いて開催され,成功裡に終了致しました事をご報告申し上げますと共に会員の皆様の多大なご協力に対し心より御礼申し上げます。

特に今回は昨年来続いている両国間の政治的緊張から,果たして何人の方にご参加を頂けるのか懸念致しましたが,結果として300名を超える両国経済人にご出席を頂きました。

また,会議では前向き,未来志向の議論が交わされ,例年にも増して熱く,中身の濃い経済人会議であったとのご評価を多くの方から頂き,安堵致しております。

なお,今回より,本年2月に退任された趙 錫来前会長の後任として,韓日経済協会会長に就任された金 ?(キム・ユン)三養ホールディングス会長が韓国側団長として初参加されました。

また,会議に先立ち,佐々木幹夫 日韓経済協会会長兼日韓産業技術協力財団理事長のご案内で表敬訪問が個別に行われました。

  • 安倍 晋三    内閣総理大臣
  • 麻生 太郎    副総理兼財務大臣
  • 岸田 文雄    外務大臣
  • 茂木 敏充    経済産業大臣
  • 額賀 福志郎  衆議院議員(日韓議員連盟会長)

訪問した各氏よりは,異口同音に先般の韓国に於ける海難事故に対する丁重なお悔やみとお見舞いのご挨拶がありました。

安倍総理大臣からは,厳しい状況下にも拘らず,経済人会議出席の為,多くの方々に来日頂き,心より歓迎する。

日韓両国に難しい問題が存在することは事実だが,様々なレベルに於ける交流と相互協力でより緊密な関係になっていく事を期待したい。

両国の経済協会が,これまで幾多の困難があったにも拘わらず,1回も途切れることなく交流を続け,この度,46回目の会議を開催されたことを高く評価すると共に,今後ともWIN―WINの関係で民間の先頭に立って尽力頂きたい。とのご挨拶がありました。

また,表敬訪問した全ての会談が率直且つ穏やかな雰囲気で行われましたことを報告させて頂きます。

14日午後からの開会式は,佐々木,金 両国団長のご挨拶によって始まりました。

佐々木団長からは,先般の韓国に於ける海難事故の犠牲者及び遺族に対する哀悼の意を表された後,日韓両国関係は厳しい緊張状態が続いているが,このような時だからこそ民間の先頭に立ち,経済,文化,人材交流を絶やしてはいけない旨強調され,特に次の50年に向けた未来志向の日韓関係の構築,具体的には域内経済統合に向けた日韓両国のEPA/FTA及びTPPへの共同取組み,日韓両国の第三国に於ける協業の推進,少子高齢化対策,2018年の平昌冬季五輪,2020年の東京夏季五輪に向けた相互協力を含む,文化,スポーツ交流の拡大等を提案されました。

金鈗 団長よりは,今回韓国側参加者に対する,日本側の温かい歓迎に感謝をすると共に,今後共価値観を共有する両国が地域経済統合の為に協力していきたいと強調されました。

続いてご来賓の挨拶となりましたが,日本側からは政府を代表して,磯崎仁彦 経済産業大臣政務官,経済産業界を代表して米倉弘昌 経団連会長,韓国政府を代表して,李丙琪(イ・ビョンギ)駐日大韓民国特命全権大使及び尹相直(ユン・サンジク)産業通商資源部長官(洪東昊(ホン・ドンホ)公使の代読)より祝辞を頂きました。

ハイライトである基調講演は,日本側よりは額賀福志郎 衆議院議員(日韓議員連盟会長),韓国側からは許昌秀(ホ・チャンス)全経連会長にご登壇頂きました。

額賀氏は,来年の日韓国交正常化50周年を控え,両国関係は緊張状態が続いているが,出来るだけ早い時期に日韓両国の首脳会談が実現するよう日韓議員連盟として努力を続けると述べられ,会場より大きな拍手がありました。

また,許昌秀会長も国交正常化50周年を迎え,希望の100年を開く為に,新たな幅広い日韓経済協力の必要性を説かれました。

2日目の5月15日には午前と午後にわたり二つのセッションを行いました。

午前には「21世紀をアジアの世紀に」とのテーマで,特に均衡が取れ,力強いアジアの地域経済統合実現に向けたマクロに視点からの発表とパネルディスカッションが行われ,日本側からは亀崎英敏ABAC日本委員(前日本銀行審議委員)と,安原貴彦みずほ銀行執行役員国際業務部長より高い次元からの御発表を頂きました。

午後のセッションでは2015年の日韓国交正常化50周年を控え,「次の50年に向けた未来志向の日韓関係の構築」と題して,具体的にどのような日韓協力が出来るのか,すべきなのかに付いてミクロの切り口からの議論が展開されました。

コーディネーターを三菱商事の藤山知彦 常勤顧問にお願いし,日本側からは石山博嗣ソウルジャパンクラブ会長より,先般2月に実施した日韓合同によるミャンマー視察の報告を含め,「第三国に於ける日韓協業の推進」と題して,また,麻生介護サービスの岡部正博取締役より「日韓の医療介護を取り巻く現状と今後の協力」と題して極めて具体的なご発表を頂きました。

このセッションでは次の50年を担う青少年交流,育成の更なる強化拡大,資源,エネルギー戦略,環境問題,少子高齢化等両国にとって喫緊の問題に加え,佐々木団長よりもご提案があった,2018年平昌(ピョンチャン)冬季,2020年東京夏季のオリンッピクに向けた相互協力等,幅広く熱い議論が展開されました。

なお,第一日の5月14日の開会式終了後の壇上に於いて,昨年亡くなられました瀬戸雄三氏への顕彰式を行いました。

瀬戸氏のアサヒビール株式会社会長,社長時代のご活躍は皆様ご高承の通りですが,第6代日韓経済協会会長としても日韓両国の友好推進の為に尽力されました。

特に,日韓両国青少年交流の代表的事業に成長した「日韓高校生交流キャンプ」は瀬戸氏のご英断によって創設されたものであります。

このキャンプが,昨年20回の節目を迎えたことから,今般瀬戸氏のご功績に対し,感謝の辞と顕彰の楯を贈呈し,楯は日韓経済協会副会長でアサヒホールディングス㈱相談役の荻田 伍氏に代理ご受領頂きました。

以上,大変厳しい両国関係の下ではありましたが,日韓経済人会議が全ての参加者の皆様のご協力により成功裡に終了致しました事を報告申し上げました。

次回,第47回会議は,時期は未定ですが,来年2015年に韓国で行われます。

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